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2023.12.22release 『彗雨龍光』作品解説 <作品全体について> この度はアルバム『彗雨龍光』をお聴きいただき、ありがとうございます。 数年前に、「水のアルバムを作ってください。」という依頼を頂戴したことがありました。 様々な構想を練ったものの、その時には作品、構成ともに十分なものが出来ず、結果お断りさせていただくことになりました。 その後もずっとそのテーマのことは頭にあったのですが、今年に入り”水”や”龍”をテーマにした様々なご縁が繋がり、また、当初は違ったコンセプトでのアルバム制作を進めていたところ、思いがけない様々な出来事が重なり、今回のこの「彗雨龍光」という水をテーマにしたアルバムを発表させていただくこととなりました。 宇宙を巡った水が、地球へとたどり着き、地上をめぐってやがて蒸発して空へ還ってゆく大きな循環が全体のモチーフになっています。 日本列島そのものが龍体と言われていたり、古来水と龍は密接な関係にあるものでした。 そういったことから、日本の古典文学や神話、各地に残っている伝承から着想を得て様々な形の水を表現しました。 <CD版ジャケットについて> CD版のジャケットの写真は琵琶湖で撮影しました。 撮影場所の緯度は北緯35度22分に位置し、富士山、伊吹山、琵琶湖の竹生島、元伊勢、大山、出雲大社が一直線上に並び、春分・秋分の日にはこのラインから日が昇り、日が沈みます。 ジャケット写真の撮影日は4月初めで少しずれていますが、伊吹山と竹生島から昇る朝日を背景に撮影しました。 琵琶湖には龍宮があると古くから伝承があり、さらに竹生島は龍が昇る場所という龍神伝説が残っていることから、この写真を選んだ次第です。 <楽曲解説> 01.天地未発 宇宙開闢の以前。 時間と空間が未だ生じていない世界。 そこから全てが生まれる、無限の+と無限の−とを含むゼロの領域。 古事記の冒頭の一文 天地初發之時ー天地初めて發けしときーから着想を得て、「天地未発」(読み;てんちみはつ)としました。 02.logos 新約聖書のヨハネによる福音書の冒頭の一文『はじめに言葉ありき』。 元となるギリシャ語での表現 ”En archē ēn ho logos”から引用し、曲のタイトルを“logos”としました。 03.水中-minaca- かつてこの曲を私の師にお聞きいただいたとき、宇宙をめぐる水、たとえば約2億6000万年かけて太陽系が銀河系を一周する水の軌跡、そして、宇宙を巡って地球にやって来る水の旅、そういった視座をお話しいただいたことがありました。 また、古事記にも登場する神名の天之御中主神(アメノミナカヌシ)の御中とは、水の中の主とも言えるというお話も伺い、その時いただいたお話から、楽曲タイトルは水中-minaca-と致しました。 04光注ぐ丘 から、07.mikumari までの4曲は、西日本各地のお宮を参拝した際にできた曲を選びました。 04光注ぐ丘 壱岐島の丘の上にある神社に参拝した際にできた曲です。 お宮に光が注がれている光景がとても神聖で、宇宙から光が注いでいるように見え、光注ぐ丘というタイトルにしました。 05.空を渡る 福岡県の、海沿いにある神社に参拝した際にできた曲です。 参拝した日が快晴で境内に海から吹く風がとても心地良く、まるで風が自由に空を渡っているように感じたことから名づけました。 06.請雨  出雲地方の、古代に雨乞いの祭祀が行われていた磐座に訪れた際にできた曲です。 雨乞いの祭祀が行われていたという由緒から、請雨と名づけました。 07.mikumari  飛騨の位山近くのお宮に参拝した際にできた曲です。 天から地に降り注ぐ水の螺旋を感じ、このタイトルにしました。 08.鳴神  万葉集の第十一巻 2513・2514 (柿本人麻呂歌集)の二首 ”鳴る神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ” ”鳴る神の 少し響みて 降らずとも 吾は留まらん 妹し留めば” を音楽で表現した作品になります。 楽曲の中で、無音の部分が一定時間ありますが、曲の前半部分が一首目、後半部分が二首目を表現しています。 歌の大意ですが、 2513:雷の音がかすかに響いて、空も曇り、雨も降ってこないでしょうか。そうすれば、貴方のお帰りを引き留めることができるのに。 2514:雷の音がかすかに響いて雨が降らなくても、私はこのまま留まりましょう。貴女が引き留めるのなら。 となります。 09.snow crystal 雪の結晶の美しさを表した楽曲です。 前曲の雷に続き、地上における水の異なる位相を表しています。 10.水のふるさと この曲は熊本の南阿蘇の白川水源でできた曲です。 数年後に近くの別の水源を訪れた際にも同じメロディーが聴こえてきて、南阿蘇の水源一帯の音楽なのだと感じ、水のふるさととその時に名付けました。 11.ascend 水が蒸発して空に還ってゆく様、地から天に螺旋状に上昇してゆく様を表しています。 7曲目のmikumariと合わせて、天→地、地→天の右旋左旋の2つの螺旋を表現しています。

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2024.7.7release 『stargazer』作品解説 この度はアルバム stargazer をお買い上げいただき、誠にありがとうございます。 「stargazer」という言葉には、星を見つめる人、天文学者、占星術師、夢想家、ミシマオコゼ(魚)などと言った意味があります。 以下楽曲解説を掲載しておりますが、皆様それぞれご自由に空想を巡らしていただき、音楽をお楽しみいただけましたら幸いです。 01星のない世界 星が見えない暗闇、星を見失ってしまった世界、 曲ができた時にそうしたイメージが浮かび、このタイトルにしました。 02Taisai 楽曲のタイトルは、アンドロメダ星雲の日本語の古語の一つである、「太歳の星」に由来します。 元々は、以前に沖縄・宮古島を訪れた際に、宮古島の砂浜から離島の大神島を眺めていた時にできた曲です。 その後、2017年に作曲者として関わらせていただいた作品「二上念禱~大伯皇女の黙せる言伝~」の中の序曲として以前に発表している曲でもあります。 03stargazer 自然の中で、ぼんやりと星空を眺めながら、空想にふける、そんな気分の曲です。 04REM 人間の睡眠は、一晩のうちにレム睡眠とノンレム睡眠を約90分周期で繰り返しています。 レム睡眠時には体は休んでいても脳は活動していて、夢を見るのはこのレム睡眠のときだと考えられています。 起きているような、眠っているような、そうした楽曲の世界観からこのタイトルにしました。 05天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ 万葉集第七巻巻頭の、柿本人麻呂歌集から引かれた同名の歌を楽曲にしたものです。 一般的には、月が星々の中に隠れるという解釈ですが、林=囃し:引き立てる という意味として、星を引き立てるために月が雲に隠れる、そして星が夜空に輝く、という解釈もあります。 この星というのは、七夕伝説の織姫星と彦星のことであるとも言われています。 06stella luna 京都の天橋立にある元伊勢籠神社と奥宮の真名井神社を参拝した帰り道の晩、高速のパーキングエリアで休憩してふと空を眺めると、三日月と金星とが接近して、とても美しく明るく輝いていました。 その時に聴こえてきて作ったのがこの曲です。 07Coqoo この曲のタイトルは、虚空蔵菩薩に由来します。 仏教において、明けの明星(金星)は虚空蔵菩薩の化身とされ、弘法大師空海が室戸岬の洞窟で虚空蔵菩薩の真言を唱え続けていたところ、口に明星(金星)が飛び込んできたとの伝承があります。 「虚空蔵」はアーカーシャガルバ(虚空の母胎)の漢訳で、虚空蔵菩薩とは、「虚空が無限に一切のものを蔵するように、その智慧と功徳が広大無辺である菩薩」とされています。 08arctrus 牛飼座のα星であるアルクトゥルスからタイトルをつけました。 Taisaiと同じく、「二上念禱~大伯皇女の黙せる言伝~」の中にこの旋律を用いています。 09風と星のプレリュード この楽曲は、ジャケットに使用させていただいている、アーティストShigeeさんの作品から聴こえてきた音楽です。 風に吹かれながら星空をたゆたうような、どこか懐かしい音楽です。 プレリュードとは、「前奏曲」を意味しています。 10天女の羽衣 この楽曲は、夏の大三角形のこと座のベガとしてよく知られている織姫星から出来ました。 中国の伝説では、七夕と羽衣伝説とは密接な関係があることと、羽衣を纏った織姫が、星空をのびのびと自由に舞っているイメージを感じたことから、このタイトルにしました。 11Polaris この曲は大阪交野市にある星田妙見宮に参拝した際に出来た音楽です。 天上より七曜の星(北斗七星)が降臨し、七夕伝説ともゆかりのあるお社です。 北極星や北斗七星を高貴なものとして崇拝する空海の妙見信仰は星田の妙見山で確立されたと言われています。 北極星から聞こえてくるような澄み渡る音を感じ、タイトルをPolarisとしました。 12Star of Bethlehem ベツレヘムの星はまたの名をクリスマスの星と呼ばれ、東方の三賢者にイエス・キリストの誕生を伝え、ベツレヘムに導いたと言われる星です。 そして三賢者はイエスの誕生を祝い、金、乳香、没薬を神の子に捧げ 夜空にはシリウスが輝き、その脇にオリオン座の3つの並んだ星が輝いている。それがベツレヘムの星と3賢者であるとも言われています。 曲ができた時に、ベツレヘムの星が思い浮かび、このタイトルにしました。 13イソラの歌 イソラとはおおいぬ座の一等星であるシリウスの古語であり、また、人魚のことを表していたという説もあります。 14Starseed 曲自体は10代の頃に作っていた曲ですが、タイトルが定まらず無題のままでした。 今年の5月に、”Starseed”というタイトルを思いつき、楽曲完成から20年以上の歳月を経て、このたび発表させていただくこととなりました。 15Nova Terra イタリア語で、”新しい地球”という意味です。 全ての生命が幸せに輝いて、人も動物も自然の草木や鉱物などもみな美しく調和している、そんな世界の白昼夢を音で表現しました。 世界中の皆様と、夢想をご一緒できれば嬉しく思います。

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